ビル・カニンガム&ニューヨーク 最高の自腹ファッション!Bill Cunningham New York を見て

映画ファッション

ビル・カニンガム&ニューヨーク 最高の自腹ファッション!

Bill Cunningham New York を見て

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 「 最高のファッションショーは、常にストリートにある。」

 

昨日、映画館に行く機会があったので、五月に公開されて

見そびれていました、シネマを・・・

憧れてやまない、ビル・カニンガムのドキュメンタリー映画を

見に行きました。

Vogueが好きで、毎月読んでいるうちに、みかけるようになった

この白髪のおじいちゃん。

パリコレや社交界などの華やかな舞台のファッション撮影のみならず、

彼が最も得意とし、好きな被写体は、タダで着飾った有名人ではなく

 

自腹をきった、装いをこらした、

              ストリートファッションのスナップ

 

自腹ファッションを謳歌する庶民のスナップを撮らせたら

右に出るものはいない、稀有の写真家です(彼はそういわれることを望んでませんが)

 

1970年代より、ニューヨークタイムズで、 

名物コラム「 On The Street   」を 、担当する彼は

今もなお、現役で、最も尊敬されるファッション・フォトグラファーです。

(以下、あらすじ多少ネタバレありというかドキュメントなのでネタバレは変か。)

 

 ファッション写真を撮ることは仕事ではなく喜び。

 

ビル・カニンガムは、幼いころより、ファッションに興味があったようで

(日曜日のミサに行くのは、人々の帽子を見ることが楽しみだったとか)

大学を卒業後、ニューヨークカーネギーホールに、帽子サロンを開くものの、

やがて戦争で徴兵されます。 愛国心のある彼は、戦争へ向かいますが

 

 

帽子サロンを開く際に投資した、富裕層の人が、憤慨し、

ビルなき後に、ビルの家族に対して、サロンに投資した1000ドルの返金を 

すぐおこなうように執拗に求めます。 1000ドル一般市民には大金でしたでしょうが

ビル曰く 「金持ちにとってはたいした金ではない」 と。

ビルとて、投げ出したわけではなく、徴兵されて国のために戦争に行ったのです。

結局家族が払い、終戦後ビルが家族に返却したようですが

私も似たような・・というか、もっと哀しい話もよく聞きます。

 

そんな経緯で、彼は自分に 「 金に触れるな、触れたら最後だ 」

と、肝に銘じたようでそれからはまるで、修道僧のような生き方をしていくのです。 

着る洋服は、道路清掃員の青い制服。雨の日に被るポンチョは何年も

着続けて、穴が空けばビニールテープで補修した、質素なもの。

カーネギーホールにある、倉庫のような狭い部屋で、暮らし、トイレも風呂も共同で

使う毎日。部屋の中は、写真が入ったキャビネットと、小さなベッドがあるだけ。

好きに写真を撮らせてくれるからと、無給で働くことも。

New York SunriseNew York Sunrise / JefferyTurner

 (NYイメージ写真)

極限まで抑えられた、私生活。けれど、ファッションに対する目は確かで、

ドキュメンタリーに登場していた人が言っていましたが

最初は偶然だと、思っても、少し時間がたつと

(ビルの写真でみたものが流行になると)

それが確信にかわる・・・ と言っていました。

 

ビル自身は、流行を身にまとったりはしないのに、

彼が流行を作り出していることもまた事実なのです。

予告編だけでも、震えます。

 

 

私が印象的だったのは、被写体を見つけたときに、

喜んで飛んでいく様。そして、このうえなく嬉しそうな顔をして撮影するビル

見ると、私にもその気持ちが伝わってくるというか、私も写真大好きだし

素晴らしい写真や、スタイリッシュな人を見ると本当にうれしい。

 

自転車に乗り、昼間はストリートで写真を撮影し続け、夜は社交界の

パーティーでドレスの写真を撮る。パリコレにもでかけ、

「勉強になるんだ。学校にきているようなものだ」 と言って

フロントロウに腰かけ、服の・・・デティールを撮影する。

もちろん、自分の審美眼にかなったものだけ。そうじゃないものは

スルー。パーティーでも撮影を続ける彼を気の毒に思って

食べ物や飲み物を「誰も見てないわよ」 と何度もご婦人が勧める場面が

ありますが、中立な立場でいたいからと、固くなに水1杯飲みません。

 

彼にとって、本当に撮影することは、仕事ではなく悦びなのです。

 

最後に二つ質問を、インタビューされます。

印象的だったのは信仰について聞かれたとき。

突然彼はうつむき。泣いているのかと思う、沈黙。

インタビュアーが、気を使って、この質問はやめますか?

と聞くと、やっと 「自分には・・・必要なことなんだ。それは育った環境に

よるかもしれないが・・」 と言葉を発しました。

彼の部屋には、ビーズで彩ったような十字架があったのでもしかして・・と思いましたが

クリスチャンであり、彼の生活は信仰によって支えられているんだと

改めて納得しました。でなければ、あのような清貧な生活を送ることは困難です。

 

人間80歳も過ぎたら、リタイヤというのが普通でしょうが、

彼は今もなお自転車に乗り、

愛してやまない ファッションを街角で撮り続けています。

Bny1

 

「 じっと待ってなどいられない、探し出すんだ

見たこともない楽園の鳥を、とびきりエレガントな

女性や抜群のファッションを 」

 

私のバイブル的映画になりそうです。

以下はニューヨークタイムズのオンラインで連載している

ビルのコラムです。声が聴けますよ。最新のファッション情報も!

 

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コメント

  1. たこだ より:

    いくつか聞き逃しちゃった箇所があったので、
    ここで説明を読んで、しっくりきました^^

    このドキュメンタリーについてあっちに書いてくれて、
    あらためて、ありがとうございました^^
    じゃないと、見逃しちゃってました。

    なんかね、すごく考えさせられてしまってるんです。
    彼が写真を撮ってるときの嬉しそうな表情やキラキラした目が、
    脳裏に焼き付いてしまってて。

    まるで少年のようで、
    楽しくて仕方ないっての気持ちが全身からあふれ出てて、
    それでいて、
    仕事に対する妥協のなさや厳しさも持ち合わせていて。

    社会に出ると、子供の頃の純粋な気持ちって、忘れがちですよね。
    もちろん、食ってかなきゃならんって事情もあるし、
    ラッキーにも好きなことに関わることができても、
    妥協して自分を合わせていったり、
    自分の能力が上がっていけば、
    もっと稼げたらとか、もっと名のある組織に勤められたらとか、
    そういった欲が出てきますよね。
    向上心という言葉で聞こえよくできるけど、結局は欲ですもんね。

    でも、彼にはぜんぜんそういうところがない。
    衣食住に全くこだわらず、有名になりたいわけでもなく、
    ただただ自分の好きなことを貫いて、一生懸命で、
    でも悲壮感なんて全くなくて、ワクワク感いっぱいで楽しんで全身で喜んで、
    なんかもう、子供の持つ純粋な心そのものだなって。
    でもって、仕事に向かう姿勢は、とことんこだわる仕事人で。
    すごい人だなぁって。
    でもって、すっごくチャーミング!

    最近、『選択の科学』って本を読み始めたんです。
    情報社会の中で、目の前の選択肢が多すぎて溺れそうでして・・・汗
    でも、人生も折り返し地点過ぎ、自分に関する選択肢は減ってるはずなので、
    ちょっと読んでみようと思ったのですが、
    読みながら、ビルカニンガムさんのことも考えてしまいそうですよ。
    彼も、選択しながら、自分の人生を作り上げていったんですもんね。

    ・・・と、生きざまに関するコメントになってしまいましたが、
    ファッションの視点からも、とても面白くて、興味深かったです!
    彼のこのショートコラム動画、ちょくちょくチェックしちゃいそうです^^
    わたし、20代初めにNYに1年ほど留学してたことがあって、
    ニューヨークタイムズの日曜版をいつも買って眺めてたんですが(読んでないですよ)、
    その中のファッションのページが、こんな感じだったんです。
    テーマにちなんだファッションを身にまとったニューヨーカーの写真が、
    こんなふうにたくさん並べられてたんです。
    ひょっとしてあれは彼のコラムだったのかな・・・と気になってます。

    ・・・と、長々と個人的な感想を書いてしまってスミマセン。。。
    melonさんも書いてましたが、
    「いつも喜んでなさい」って、大切なことですね。
    難しいですけど、自分次第なのでしょうね。

    • 流行手帖 より:

      たこださん

      コメントありがとうございます!! まさにニューヨークタイムズ
      を購読してらしたのですね、ニューヨークに住んでたことがあるとは
      うらやましいです、話それますが、昔、槇村さとるのNYバードという
      ダンスの漫画を見て絶対ニューヨークに住みたい!!と
      子供のころ思いましたが、(住んで何をするつもりだったのだろう・・・)
      ついぞそういった機会はありませんでした^^

      そのNYタイムズのファッションを集めたページは、おそらくビル・カニンガムさんの
      ページだったと思います、あのコラムを作るにも、写真の配置とか、
      こっちの人の写真はこっち!とか、自分の美的感覚を頼って納得するまで
      こだわる様子・・ 私もこころうたれました。 
      80過ぎてますからね・・・ 驚きとか、喜びとか 期待とか
      そういう感情なくなるように、まだ年をそこまで重ねていない私は思ってしまうのですが
      そうじゃないんだよ って 気もしました。にたこださん同感です
      自分しだいなのかと。

      彼は彼で、映画では見えない心の闇などもあるのでしょうが
      それひっくるめて、目の前の人生を愛し、全力で生きている
      姿に胸打たれます。

      選択の科学・・・面白そうな本ですね、
      情報社会のデータの多さ、やそれゆえ
      生活が逆に複雑になってしまっていること
      私もおぼれないように、自制する方法など模索しています、

      選択できないときってどうすればいいんでしょうね
      平行でやってくかんじかしら・・・私も悩みます。

      ビル・カニンガムさんは、ファッションジャーナリスト
      になるという選択肢のみをぶれずに、それ以外は何も
      求めず心に決めたのでしょうね^^

      たこださんが今どんな選択をするのか
      気になります・・・・!! 私も選択の科学
      探して読んでみますね~ 図書館にあるかしら。

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